5月の終わりから7月の頭にかけて、ほぼ1月半ほどを本の修復作業に費やしておりました。
ご依頼主様に無事お渡しすることができたので、その作業の様子を何回かにわけて掲載していこうかと思います。
本業ではないので、そのあたりの諸々の事情をご理解いただいて承った作業ではあるのですが、お父様が大事にされていた本とのことで、ならばできる限りのことはさせて貰いたいと思い、かなり慎重に頑張りました。
依頼されたのは2冊。
どちらも経年劣化によりボロボロの状態です。
![](https://static.wixstatic.com/media/a27d24_9c4e983bfefc4da6bfd068270f57662c~mv2.jpg/v1/fill/w_147,h_105,al_c,q_80,usm_0.66_1.00_0.01,blur_2,enc_auto/a27d24_9c4e983bfefc4da6bfd068270f57662c~mv2.jpg)
![](https://static.wixstatic.com/media/a27d24_ede125c5b33947449094d0d0eea579ac~mv2.jpg/v1/fill/w_147,h_99,al_c,q_80,usm_0.66_1.00_0.01,blur_2,enc_auto/a27d24_ede125c5b33947449094d0d0eea579ac~mv2.jpg)
もはや元々の装丁などを修復するのは無理と判断し、装丁貼りをやり直す方法を採用したのですが、この状態からいきなり新しい装丁を貼り直すことは私の技術力では到底無理なので、まずは下処理を開始です。
![](https://static.wixstatic.com/media/a27d24_8f90f01faa7a48cfb0059cf2372a4a37~mv2.jpg/v1/fill/w_147,h_156,al_c,q_80,usm_0.66_1.00_0.01,blur_2,enc_auto/a27d24_8f90f01faa7a48cfb0059cf2372a4a37~mv2.jpg)
ご覧の通り、背表紙は既にありません。
更には頁を綴じる糸が切れてしまい半分に割れてしまっています。
ここからなんとか回復していかないといけないわけです。
ちょっと途方に暮れつつも気合を入れて作業開始です。
![](https://static.wixstatic.com/media/a27d24_8903b0556c304a04980da5076605f0e6~mv2.jpg/v1/fill/w_147,h_175,al_c,q_80,usm_0.66_1.00_0.01,blur_2,enc_auto/a27d24_8903b0556c304a04980da5076605f0e6~mv2.jpg)
まずは第一段階。
背表紙があった部分に残っている古い接着剤を削り取っていく、というひたすらに地道な作業です。
うっかり頁を削らないように気を付けつつ、ガリガリ剥いでいきます。
かなりの集中力と精神力を要するので、この作業だけでだいぶ時間をかけてしまいました…。
(あくまで『私は』です。本業の方はそんなことはないかと)
![](https://static.wixstatic.com/media/a27d24_036e3f10e3834b76b170fdd2fe058256~mv2.jpg/v1/fill/w_147,h_269,al_c,q_80,usm_0.66_1.00_0.01,blur_2,enc_auto/a27d24_036e3f10e3834b76b170fdd2fe058256~mv2.jpg)
ひたすら彫刻刀を駆使し、接着剤を剥がすこと数日…。
なんとかこの状態までこぎつけました。
ここまででようやく、第一段階終了のお知らせです。
もはや精神的な疲労が半端ないですが、やり遂げた!という不思議な達成感もありました。
当然、まだ終了ではありません。
むしろ始まったばかりなのです。
さて、とりあえず今回はここまで。
次回は『割れた背を繋ぎ合わせる作業』について書きたいと思います。